レンガの家は地震に弱い?「レンガ造」と「煉瓦積み」の違いとデメリット
レンガの家に憧れはあるけれど、「地震が来たら崩れないの?」と心配になる。IKEHOUSEで家づくりのご相談を受けていると、「レンガって、地震は大丈夫なの?」という質問をよくいただきます。
先に答えをお伝えすると、IKEHOUSEの煉瓦積みの家は、構造(建物を支える骨組み)は木造です。木造住宅の外壁を、煉瓦を積んでつくっています。「地震に弱い」と言われるのは、レンガそのもので建物を支える「レンガ造」の建物のことで、つくりがまったく違います。
この記事では、レンガ造りの家が地震に弱いと言われる理由から、木造に煉瓦を積む家の仕組み、レンガを貼る外壁との違い、そしてレンガの家のデメリットまで、順番に解説します。
レンガ造りの家は地震に弱い、と言われる理由
レンガそのもので建物を支える「レンガ造」
「レンガ造」は、積み上げたレンガの壁そのもので、屋根や床の重さを支える建物です。石造やコンクリートブロック造などとあわせて「組積造(そせきぞう)」と呼ばれ、建築基準法施行令にも、組積造の壁の長さや厚さについての決まりがあります。
レンガは、上からの重さにはよく耐えます。一方で、レンガとレンガはモルタル(セメントと砂を練ったもの)でつないでいるだけなので、地震のように横から揺さぶられる力には弱く、目地から割れやすいという弱点があります。しかも建物全体が重いため、揺れたときにかかる力も大きくなります。
関東大震災では、多くのレンガ造の建物が倒れた
日本でも、明治から大正にかけて、西洋風の建物としてレンガ造の建物が各地に建てられました。ところが1923(大正12)年の関東大震災では、レンガ造りのビルが倒壊した一方で、日本流の耐震設計をしたビルは被害が軽かったことが、内閣府の災害教訓の継承に関する専門調査会報告書にまとめられています。これをきっかけに、翌1924年には法令で初めて、建物が耐えるべき地震の力が定められました。

「レンガの家は地震に弱い」というイメージは、こうした歴史から来ています。今の日本で、レンガだけで建物を支える住宅を見かけることは、ほとんどありません。
「レンガの家」には、つくり方が大きく3つある
ひと口に「レンガの家」と言っても、つくり方は大きく3つに分かれます。地震に対する考え方も、それぞれ違います。
| つくり方 | 建物を支えるもの | レンガの役割 |
|---|---|---|
| レンガ造 | 積み上げたレンガの壁 | 建物の重さを支える構造そのもの |
| 木造などの骨組み+煉瓦積み | 木造や鉄骨などの骨組み | 基礎の上に積み上げた外壁。重さは基礎で受ける |
| 木造などの骨組み+レンガ貼り | 木造や鉄骨などの骨組み | 建物の外壁に貼り付けた仕上げ材 |
IKEHOUSEの「煉瓦積みの家」は、2つ目の「木造+煉瓦積み」です。「レンガの家」と言うと、レンガ造だと思われることがあるため、この記事では「煉瓦積みの家」と書き分けています。
なお、レンガの柄をプリントした外壁材(レンガ調サイディング)は、見た目がレンガに似ているだけで、焼き物のレンガとは別の素材です。
本物のレンガと、レンガ調サイディング・レンガタイルの違いは、「本物のレンガと「レンガ調」の外壁は何が違う?素材を選ぶ前に知ってほしいこと」で詳しく紹介しています。
IKEHOUSEの煉瓦積みの家が、地震に備える仕組み
構造は木造。煉瓦の壁は基礎から積み上げる
IKEHOUSEの煉瓦積みの家は、在来の木造軸組工法(柱と梁で組む、日本で一般的な木造)で建てます。地震の揺れに耐えるのは、この木造の骨組みです。
煉瓦の外壁は、その骨組みの外側に、基礎から1つずつ積み上げていきます。煉瓦の壁の厚さの分だけ基礎を外側に広げて厚くし、その上に積むので、煉瓦の重さは基礎が受け止めます。煉瓦の重さを木造の骨組みにぶら下げないことで、建物への負担をできるだけ軽くしています。
1棟に使う煉瓦は8,000〜1万個ほど。職人が1つずつ手で積んでいます。

煉瓦の中に鉄筋を通して補強する
煉瓦の壁は、ただ積み重ねているだけではありません。特殊な金具を使って鉄筋を縦横に配置し、煉瓦の中にモルタルを詰めて補強しています。
こうして補強した煉瓦の壁は、基礎の上で自立したうえで、煉瓦の中の鉄筋を金具で木造の骨組みにつなぎ、骨組みと一体になっています。木造の骨組みが、煉瓦の壁を抱きかかえているようなつくりです。
レンガ造が地震に弱いのは、目地から割れやすく、横揺れに耐えにくいためでした。煉瓦積みの家では、鉄筋で煉瓦の壁そのものを補強し、さらに木造の骨組みと一体にすることで、煉瓦の壁だけが揺れて崩れることを防いでいます。
構造計算は木造の骨組みで。煉瓦の強さは「余裕」として上乗せ
IKEHOUSEでは、構造計算(地震や風に対して建物が安全かを確かめる計算)を、木造の骨組みで行っています。全棟で許容応力度計算を行い、耐震等級3(住宅の性能表示で最も高い等級)を標準仕様としています。煉瓦の重さは計算に入れますが、煉瓦の壁の強さは入れていません。
法律の決まりの上で、煉瓦の壁の強さは構造計算に入れることができないためです。そこでIKEHOUSEでは、木造の骨組みを頑丈につくり、木造の骨組みだけで地震に耐えられることを計算で確かめ、煉瓦の壁の強さは、数字には出ない「余裕」として上乗せしています。
「レンガだから地震に強い」と言うのではなく、まず木造の家として必要な強さを確かめる。そのうえで、煉瓦の壁の分だけ、さらに安心が加わる。IKEHOUSEは、煉瓦積みの家をそういう考え方でつくっています。
実物大の家で耐震実験を行った
煉瓦積みの家の耐震性を確かめるため、2008年7月24日、茨城県つくば市の土木研究所で、全国で煉瓦積みの家を手がける会社が集まり、延床32坪の実物大の煉瓦積みの家を使った耐震実験を行いました。信州大学の五十田博准教授(当時)の監修のもと、1日のうちに4回、阪神・淡路大震災の100%と150%、新潟県中越沖地震の120%と70%にあたる揺れを加えましたが、煉瓦の壁は崩れず、外壁にも内部の構造にも大きな損傷はありませんでした。

ただし、実験の結果は、先ほどの構造計算の数字には入れていません。実験は「崩れなかった」ことを確かめたもので、構造計算の安全性は、あくまで木造の骨組みで確かめています。
レンガを積む外壁と、貼る外壁の違い
レンガを使った外壁には、積む方法のほかに、薄いレンガやレンガタイルを建物の外壁に貼る方法もあります。見た目は似ていても、地震や雨に対する考え方は大きく違います。
- 積む外壁:基礎を厚くして、基礎から積み上げる。煉瓦の重さは基礎に乗る
- 貼る外壁:建物の外壁に、モルタルなどで貼り付ける。重さは建物にぶら下がる形になる
貼る外壁は、下地との接着に頼ることになります。年月がたってモルタルにひびが入り、そこから水が入ると、はがれやすくなります。タイル貼りのビルで、タイルがはがれて落ちることがあるのと同じです。
積む外壁は、煉瓦そのものが基礎の上に立っていて、接着に頼らないので、貼った外壁よりはがれにくいつくりです。IKEHOUSEが煉瓦を貼るのではなく積んでいるのは、そのためです。

レンガの家のデメリット
煉瓦積みの家には、よいところばかりではなく、デメリットもあります。建てる前に知っておいていただきたいことを、正直にお伝えします。
費用が高くなりやすい
煉瓦そのものの費用に加え、職人が1つずつ手で積む手間がかかるので、一般的なサイディングの外壁より、建てるときの費用は高くなります。レンガは粘土を高温で焼いてつくるため、燃料の値上がりの影響も受けます。
レンガの家の価格は、家の大きさや、外壁のどこまでを煉瓦にするかで大きく変わります。IKEHOUSEでは、ご家族の希望や予算を伺ったうえで、仕様とあわせてご提案しています。まずはご相談ください。
工期が長くなりやすい
1棟で8,000〜1万個の煉瓦を、職人が1つずつ積んでいきます。そのぶん、外壁の工事には、サイディングを張る場合より日数がかかり、工期は1か月ほど長くなるのが目安です。
建物が重くなり、基礎を厚くする必要がある
煉瓦の壁はとても重いので、その重さを受け止められるよう、基礎を煉瓦の壁の厚さの分だけ広げて厚くします。
積める職人・会社が限られる
レンガを貼る外壁を扱う会社は多いのですが、基礎から煉瓦を積む家を建てられる会社は多くありません。手間がかかること、「そこまでしなくてもよい」「煉瓦積みは構造的に弱い」と考える住宅会社が多いこと、レンガの見た目がほしいなら貼る方法で十分と考えられていることが理由だと考えられます。
煉瓦積みの家を検討するときは、その会社がどのように煉瓦を積み、構造計算をどう考えているのかを確かめてください。
レンガの外壁のメンテナンスは?
煉瓦は、焼き物なので色あせにくく、塗り替えの必要がありません。年月がたつほど風合いが深まり、経年変化を楽しめる外壁です。
IKEHOUSEでは、築15年目を迎えた煉瓦積みの家の見学会を開いたこともあります。年月がたった煉瓦の外壁の様子は、見学会や施工事例でもご覧いただけます。

見学会やイベントの予定は、イベント情報でお知らせしています。
煉瓦の外壁だけでなく、家全体の断熱や気密の性能は、「UA値・C値とは?断熱等級との関係と、数字だけで家を選ばないためのポイント」で詳しく紹介しています。
まとめ
この記事でお伝えしたポイントは、次の5点です。
- 「レンガの家は地震に弱い」と言われるのは、レンガの壁で建物を支える昔の「レンガ造」のこと
- IKEHOUSEの煉瓦積みの家は、構造は木造。煉瓦の壁は基礎から積み上げ、重さは基礎で受ける
- 構造計算は木造の骨組みで行い、耐震等級3を標準としている。煉瓦の壁の強さは数字に入れない「余裕」として上乗せしている
- 煉瓦を積む外壁は、接着に頼る貼る外壁とちがって、はがれにくい
- 費用・工期・重さ・対応できる会社の少なさなど、デメリットも知ったうえで選ぶことが大切
煉瓦積みの家の手触りや重厚感は、写真だけではなかなか伝わりません。IKEHOUSEの施工事例や、宿泊して体感できるモデルハウスで、実物をご覧ください。「うちの土地に建てられるか」「費用はどのくらいか」といったご相談も受け付けています。